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尚敬王(1713-1751)の冊封に正使 海宝とともに来琉した冊封副使・徐葆光が琉球首里城瑞泉門のそばにある龍樋をたたえて揮毫した石碑の金石文拓本である。
西大学院日本美術の鶴田大先生の収蔵品であるが、神奈川大学の後田多敦准教授による「琉球の歴史と文化」の集中講義の参考にしてということでお持ちくださったものである。



















先年、この除葆光の出身地で冊封料理を再現するということで行ったことがある。再現したのは蘇州市の団体で日本でいえば文化協会のような組織であった。食卓を5卓並べ、その上に初段から5段までの料理すべてが飾られた。もちろん食べられる。真冬で雪も降る季節、料理も凍るかと思うような寒さのなかで料理人からいろいろ説明してもらった。この料理がお城で出されたらどんなにか絢爛豪華な宴になるのだろうかと想像して満腹感と幸福感を味わった。
もっとも、すべての料理の撮影が終わったら別室で全部ではないがこれらの料理の大部を味わうことができた。「凄い!」の一言につきる。
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さて、話は変わるが、
琉球王朝の時代、首里城正殿にかけられていたという名鐘「万国津梁の鐘」には「琉球国は南海の勝地にして三韓の秀を鐘め大明を以て輔車となし、日域を以て脣歯となす」の銘文がある。小さな琉球国が明の国を相手に輔車の関係といい、日本に対しては唇と歯のあいだがらであると言い放つ、往時の琉球国臣民の気概が伝わる銘文である。

それも、私たちが食を取るさいに重要な頬骨と下顎、歯と唇にたとえて明国や日本を琉球と同列にみなしてしまうとは。

今、子供たちの顔相が変わってきた。

風癲の寅さんのような四角い顔がいなくなったのだ。小さい顔の八頭身、最近では九頭身の手足のやたらに長いモデルが現れるようになった。

歯が丈夫で歯並びが良く、顎が張って少々のものはバリバリと噛み砕いてしまう頑丈な輔車をそなえた健啖家がうらやましがられたのは昔のこと。今はテレビにでるタレント、アイドルたちの八重歯が可愛いという時代。歯並びが悪くとも細面のの子がもてはやされる。

そこには食の環境変化があるように思える。そしてその食環境の変化は食事の手間さえ省きたいという現代人の要求に栄養素という科学的データが誤用さたことでおきたのだ。2、3回噛むだけで水やジュースで流し込んでしまえるような歯ごたえのない肉とも魚ともつかない機能性食品。温めるだけのレトルトパウチ食品、湯を注ぐだけのインスタント食品などなどが氾濫している。 

リスや百舌など他の動物でもときおり見かける隠して保存するという動物の本能の行為を超えた保存加工食を生み出したのだ。そういった簡便な食品を食べつづけさせていれば歯や顎骨が成長せず、乱杙歯の子供たちがふえるのは当然のことである。現実に学校給食の人気メニューではカレーライス、スパゲティー、など歯や顎に負担をかけることなく嚥下できるものが好まれている。

歯の噛み合わせが悪いと筋肉の調和を損ない、正しい姿勢が保てず、頭痛、肩こり等が慢性化するという。歩く姿も前かがみで歩幅も小さく、まるで老人のような姿になってしまうらしい。

それだけではない。ふんばったり、物を持ち上げたりするにも顎骨や歯の丈夫さが要求される。顎の骨や歯が弱ければ耐える力がなくなるのである。

キレルという言葉で表される子供たちの堪え性の無さなどは歯や顎の未発達と同じ機軸にあるのかもしれない。「歯を食いしばって頑張る、耐える」などということはしっかり噛むことのできなくなった子供たちにはもう死語に違いない。丈夫な歯と顎がなければ歯を食いしばることなどできるはずがないのだから。飢餓や困難な時代がいつ来ないとも限らない。そのとき、辛抱し、踏ん張るだけの体力と気力が身についているだろうか。

骨を砕き、肉を食いちぎるほどに丈夫な子供が増えることを願っている。